intoroduction | marques | resource | articles | links
黄金色に輝くコントラスト・ステイン、Specimen Straight Grainに匹敵するグレインパターン、ハンドターニングによるワンオフ・デザイン、そしてPre-Trans期の他のパイプにほとんど見られないスクリプト(筆記体)ロゴと、さらには誇らしげにシャンクにスタンプされたエドワード・バーリングのイニシャルEB。これだけのフィーチャーを並べ挙げれば、Guinea Grainがいかにスペシャルなグレードであったか自ずと知れようというものだ。Pre-Trans Barlingの中でも絶大な人気とコレクティビリティを誇るグレードである。
一説によると、このGuinea Grainが特別なのはBarlingとしては珍しいその外観だけではなく、スモーキング・クオリティも同様であるらしい。Pre-Trans Barlingは樹齢100年を超えるオールド・ブライヤーと、さらにその良質の木を長期間エア・キュアリングする手法に絶大な自信とプライドを持っていたファームであるが、なんとこのGuinea Grainだけは、あたかもAlfred Dunhillのパイプと同じように、オイルを使用した加熱系キュアリングが施されているというのだ。筆者が実際に喫煙してみた限りでは、確かに他のBarlingのエア・キュアされたアルジェリアン・ブライヤーの喫味とは一線を画している印象を持った。Alfred DunhillのBruyereに酷似していると言ってもいい味なのである。この顕かな味の差から、Guinea Grainオイルキュア説はかなり信憑性が高いと言ってもいいのではないかと思う。
このパイプはわずか数服しかされていなかったと思しきニアミントな状態で入手することができた。そのためGuinea Grainのサンプルとして、(外観、喫味ともに)真実にかなりのところまで迫ることができるのではないかと思う。推測に過ぎないが、当時華々しくパイプ・シーンに台頭してきたAlfred Dunhillの喫味と、老舗ながら何人も及ぶことのない優美さを誇っていたComoy'sのアピアランス、これらを大胆に取りいれた、Barling渾身の戦略グレード、それがこのGuinea Grainだったのではないだろうか。
規範的なダブリンよりも、ややシャンクがマッシブに、そしてボウル自体の造型もややファットにチューンされた、Guinea Grainのシェイプエグゼキューション。全長は小ぶりだが、このチューンのために非常にバランスのよいシェイプに仕上がっている。ダブリンは直線を多用したシェイプであるが、そのことによって却ってブライヤという素材の持つ温もりや素材感が強調されるのは面白い。ハンドターニングによってシャンクにこれだけのラウンド感が出ているのは驚きである。
『ギニ―金貨のような輝きのグレイン』という名前に相応しい、輝かんばかりのステイン・ワーク。Barlingのステインはナチュラルもしくはプラムカラーが基本だが、これは例外的にイエロー系の勝ったウォルナット・カラーである。Barling最上級グレードのSpecimen Straight Grainに準ずる、ストレート系のグレインも見事。
随所に高いクラフトマンシップを匂わせる、エンジニアリングとディティールのショット。誇らしげにスタンプされたEB(Edward Barling)の刻印を写した写真では、同時に何故Pre-Trans Barlingが、ハイエンド・デニッシュ・ハンドメイドに並び称されるのか、その理由が瞭かになっている。素晴らしいフィッティング精度。
Guinea Grainに特有のスクリプトロゴ。アポストロフィ+sが刻印されるため、後年のPost-Transition期のスクリプトとは一目で違うことがわかる。
shape: (N/A) dublin
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: yellow hue wallnut contrast
ornament:none
length: 139mm
height: 45mm
chamber dia: 18mm
chamber depth: 41mm
weight: 28g
nomenclature:
BARLING'S(script)
GUINEA-GRAIN REGD.(in upper case, block)
EB
MADE IN
ENGLAND.
EL
Barling Cross logo hotstamped on the stem
note:
・ニアミント、パーフェクトコンディション