Comoy's of London

Comoy's of London

詳細なモデル・グレード・datingインフォメーションはこちらを参照のこと。

ノーメンクレイチャー(スタンプ)ガイドはこちらを参照のこと。

history:

comoy's1825年創業の、現在まで続くうち世界で最も古いパイプメーカーである。その起源はパイプ工業の聖地フランス・サンクロードでのクレイパイプの生産を行っていたフランソワ・コモイの工房であり、世界初のブライヤーパイプも1848年頃フランソワと彼の息子ルイによって製品化されたとされている。1879年、フランソワの孫、アンリ・コモイは当時最大のComoy's製品のマーケットになりつつあったロンドンに会社を移転させComoy's of Londonを設立し、"London Made"の呼称をいち早く使った。後年、甥のルイ・シャピュイ、シャルル・シャピュイが経営に参加し、Comoyはニューカッスル・プレイス、クラークンウェル、ローズバリー・アヴェニューと次々に工場を設立し、高品質なパイプによって高い評価を得た。Dunhillがパイプ生産を開始するよりも40年以上前に、ロンドンに於いて既にプレミア・パイプメーカーとしての確固たる地位を築いていた老舗である。

Comoy'sの製品管理の厳しさは有名で、"Everyman pipe" "Guildhall" "Sunrise"等多数の「セカンド」ブランドを運営し(セカンド品はLondon Pipe Companyという別部門から発売された)フローなどの傷のあるパイプをそちらに回すことで、Comoy'sブランドの製品の質を高く保ち続けた。1960年代までのComoy'sラインの製品には基本的にパテ埋めは皆無で、この時代の高級グレード、"Specimen Straight Grain""Blue Riband"はコレクターたちの垂涎の的となっている。

1980年頃、Comoyの製品をアメリカへ輸出していたオッペンハイマーグループによってこの世界最古のブライヤーパイプメーカーは買収され、オッペンハイマーグループのパイプ製作部門であるCadoganグループの一員となった。Cadogan傘下となってからComoy'sの製品の質は凋落の一途を辿り(グレッグ・ピースの言葉を借りれば『ソリに乗って地獄まで滑り落ちた』)、グループ内ではプレミアム・ブランドとして位置付けされていたにもかかわらず、最終的にその製品は粗悪なエントリーレベルのパイプと見なされるようになる。近年(2004年)、アメリカ市場の要求を理解した新ディストリビューターの元、ダンヒルの再生プログラムにも関わったアメリカ人パイプ作家スティーブ・ジョーンズの監修を受け、最近の製品の質は目覚しく向上している(※1)と伝えられる。だがそれでも、一度失われた過去の栄光を取り戻すのはComoy'sにとって容易な道程ではないだろう。

features:

Comoy'sのパイプの特徴は、第一にそのシェイプの美しさである。クレイパイプ時代の伝統を受け継いだフレンチ・クラシックの色が濃い、優美で洗練されたそのシェイプに魅了されるスモーカーは多く、有名な人物としてはGLP internationalのグレッグ・ピースの名が挙げられる。多くのシェイプで、クラシックシェイプのリファレンスとでも呼べるような理想的なバランスが作り出されている。

第二にその卓越した工作精度。マウスピースのフィッティングは髪の毛も通さず、段差も完全に面を一にしている個体がほとんどで、その優れた工作精度はGland Sram Patent Systemなどの精妙なシステムの搭載を可能にしている。またマウスピースは60年代以前の製品では全てがヴァルカナイトからのハンドカットで、"Slender-bite mouthpiece"(※2)と名づけられたそれは極薄(3.5mm近辺…マウスピースの薄さで定評がある現代のPeter Heeschenでも3.7 - 4.2 mm)のリップを備え素晴らしい咥え心地を誇る。

そしてその美しい染色技術も注目に値する。中でも、1954に初めて導入されたという(その最初の製品はGuildhallブランドで発売された)Two-Tone FinishはComoy'sのトレードマークとなり、後年は一般にGolden Contrastと呼ばれるようになり多くのパイプ作家・メーカーに影響を与えた。(一説によると、デンマークにおけるファンシーパイプ革命を起こしたSixten Ivarssonが、自身の作による革新的なハンドメイドパイプのステインを決定する上で参考にしたのがComoy'sの染色技術だったという。また、現代パイプ作家のトム・エルタンは自らの方法でGolden Contrastを完全なものにした作家であるという評価がなされている。)ハイコントラストで、下地が輝く様に浮き出されたそのステインは、色こそダークレッド、ウォルナットと地味ではあるが、大変美しく現代のモダン・ハンドメイドに比べても全く引けを取らない。

最後にそのスモーキングクオリティと市場価格である。個人的にはComoy'sの喫味は素晴らしいと感じる。ダークで抑制の効いた味わいで、ガーグリングや不自然な結露などとも無縁である。近年Grand Slam Pipeがその喫煙特性からモダンスモーカーの間で人気となるといった現象もあったそうである。価格は、Blue RibandSpecimen Straight Grainなどのコレクターズ・アイテムを除けば馬鹿らしいほど安価で、Traditionあたりのまあまあのコンディションの個体なら、ebayで辛抱強くsearch&bidすれば30ドル以内で入手できる。また弾数も豊富なのでシェイプにこだわらなければ入手性も非常に高い。GBDと並んでベストバリューなブランドだと言えるだろう。

3-bar logoお薦めグレードはTraditionGrand Slam PipeSandblast。できれば60年代かそれ以前のパイプを狙いたい。London Prideシリーズは丁度60年代を通じて生産されていたので、datingに困難がなくこれもお薦めである。またLondon Pipe Companyから販売されていたセカンド品は、ほぼComoy'sと同様の喫煙特性を持つため、安価にオールドイングリッシュの味を楽しみたい向きにはお薦めである。GuildhallEveryman Pipe等の3-bar logo(※3)(右写真)を持つシリーズ(例外あり)がセカンド品である。

Smoking Characteristic:

Comoy'sの喫味は、『ダーク&へヴィ』、この一言に尽きる。その優雅なアピアランスからは想像しにくいが、オールドブリティッシュマークの中でも最も煙草感とコクを強調するブランドである。ライトなヴァージニアブレンドすらダークストーブを思わせるほど、と言えばその重さが分かりやすいだろうか。ベストマッチングはヘヴィなバルカンブレンド。VAでもコクを求めるスモーカー、もしくは徹底的なラタキアジャンキーにお薦めしたい。ドライネス、クールネスは平均的。

OLD or LATER? quick identification

comoy's 3 piece inlaid C logoコレクティブルな価値があるとされるComoy'sのパイプは1980年近辺のCadoganによる買収以前の製品である。これ以前のパイプは通称"Pre-Cadogan"と呼ばれ、マウスピースの「C」マークがエボナイトロッドと白いブラスチックを埋め込むという手の込んだやりかたで構成されている。この「3ピース・インレイドCロゴ」(右写真)を持つものがOld(Pre-Cado)Comoyであり、それ以降の単純なスタンプによるロゴの製品と容易に区別ができる。

カドガン期(c1980〜)のパイプについて

最近ネットでもコモイについて興味を持たれる人が多くなってきたようではあるが、datingについて単純なミスを犯している例が散見されるので、追記しておきたい。Comoy'のパイプで3 part inlayでないcロゴを備えているものは刻印の如何にかかわらず、例外なく1975年以降の製品である。また、以下にカドガン期に発売されたグレードを挙げておくので目安にして頂きたい。Virgin, Briar Inset, Trend, Hallmark, Unique, Tawny Saddle, Wembley, Silhouette, Spigot, Jade, Elegance, Special Make, Black Coral, Vest Pocket, Collector, Facet, Tigerseye, Bermuda, Super Grain, Flame Grain, Supreme Grain, Comet, Red Bark, Black Bark, Naked Root, Gold Bark

models & grades:Pre-Cadogan Era

Old Bruyere

Virgin Briar

Sandblast

Tradition

Grand Slam Pipe

London Pride

Blue Riband

Selected Straight Grain

Specimen Straight Grain

Royal Comoy(s)

Prima

De Luxe

Extraordinaire

Pebble Grain

Golden Grain

Highgate

Patina

sample collection:

Comoy's

Comoy's Old Bruyere Patent #64 Billiard (1960s-1975)

Comoy's Old Bruyere #484 Saddle Billiard (1960s-1975)

Comoy's Royal Comoys #13 Half Bent Billiard (1927-early'30s)

Comoy's Royal Comoys #106 Billiard (late '30s)

Comoy's Royal Comoys #430 Bulldog (1938-1940)

Comoy's Tradition #23 A/M Canted Builliard (1970s)

Comoy's Tradition #102 A/M Pot (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #188 Stack (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #202 Cutty (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #216 Bulldog (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #256 Author (circa 1938)

Comoy's Tradition #256 Author (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #284 Bullmoose (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #398 Saddle Bulldog (1950s-mid'60s)

Comoy's Tradition #440 Straight Rhodesian (1950s-mid'60s)

Comoy's Grand Slam Pipe #47 Billiard (1950s-mid'60s)

Comoy's Grand Slam Pipe #159 Globe (1950s-mid'60s)

Comoy's Grand Slam Patent #213 Clay tavern (1940s〜1952)

Comoy's Grand Slam PAT.PENDING #235 Kruger (1933-1946)

Comoy's Grand Slam Sandblast #332 Billiard (1950s-mid'60s)

Comoy's London Pride #157 Barrel (1970s)

Comoy's London Pride #556 Saddle Prince (1960s)

Comoy's Blue Riband #159B Globe (1950s-mid'60s)

Comoy's Extraordinaire #342 Billiard (1950s)

Comoy's Extraordinaire Sandblast #343 Saddle Billiard (1959〜1963?)

Comoy's Extraordinaire #803 Foursquare (1938-mid'40s)

Comoy's Extraordinaire #235 Kruger (c1930)

Comoy's Royal Comoy #126 Pot (1970s?)

Comoy's Royal Comoy #252 Saddle Pot (1970s?)

Seconds

Special Straight Grain #331 Squat Bulldog (1950s-mid'60's)

The Everyman Pipe #80 Bulldog (1935-50s)

The Everyman London Pipe #182 Saddle Billiard (mid'60s-1975)

Guildhall #203 Belge (1948-50s)

The Guildhall London Pipe #214 Bent (1950s-mid'60s)

The Guildhall London Pipe #F337c Prince (1950s-mid'60s)

Sunrise Amber Grain #256 Author (1950s-1975)

Hyde Park #43 Half Bent Billiard (1940s〜'50s?)

Shop Brands

Leonard's Dover De luxe Giant #235 Kruger (1940s?)

 

 

 

new
Extraordinaire #235
c.1930
 
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Tradition #256
c.1960
 
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Tradition #256
c.1940
 
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Tradition #283
c.1960
 
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Royal Comoys #13
c.1930
 
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Royal Comoys #430
c.1940
 
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Grand Slam #235
c.1940
 
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Grand Slam #213
c.1940
 
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Extraordinaire #803
c.1940
 
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Extraordinaire #342
c.1950
 
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Blue Riband #159B
c.1950
 
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Special SG #331
c.1960
 
↓See below for more pipes!!↓

(※1)再生プログラム以降に発売されたシリーズ名は以下の通り。Blue Riband, London Pride, Tiger's Eye, ExtraordinaireII, Naked Root, Gold Bark, Black Bark, Red Bark。スタンプのCマークを備えているので、復活したシリーズ名のものでも判別は可能。新シリーズ以降は往年のComoy'sの質を取り戻すべく、Steve Jonesによりハンドセレクトされたブライヤーを使用し、過去のシェイプやシリーズ名を復活させ、ダブルブラストなどの新技術も投入されているそうである。いずれ機会があったらその質をレビューする予定。

(※2)1970年代に入るとモールドのマウスピースが使用され始める。厚みは増え"Slender-bite mouthpiece"ほど快適ではないが、それでも標準的なファクトリー物のマウスピースより咥え心地はよい。

(※3)Guildhall,EverymanなどのセカンドブランドはCadoganによる吸収と時を同じくして姿を消すが、後年Comoy'sのロワーグレードのシリーズ名として復活することになる。スタンプされたCマークを備えているので簡単に判別がつくが、Pre-Cado期のセカンドブランド物には質が高い個体に3-Bar LogoではなくCマークをつけて出荷するスペシャルアイテムもあったので注意。といってもこちらはinlaid-Cになっているのでやはり判別は可能。