GBD

GBD

history:

gbd19世紀、フランス・パリに於いて、ガヌヴァル、ボンディエ、ドナンジェ(※1)の三人のパイプマスターが集まって設立された会社で、社名は彼らの姓の頭文字を合わせたものになっている。三人の手を離れたGBDは20世紀に入るとともにイギリスにヘッドオフィスを移し、以降ロンドンを拠点に世界中に良質なパイプを供給することとなった。フランスに出自を持つというコネクションを生かして入手されたアルジェリア産ブライヤーを使ったパイプは品質が高く、現在では専ら過小評価されてるとの見解が大勢である。

GBDはロンドンにその販売拠点を移したのちも、生誕の地であるパリ、そしてサンクロードにも工場を持っていた。サンクロードで製造されたボウルはロンドンに運ばれステムワークとフィニッシュを施されていたが、サンクロードで完成されてそのまま販売されるパイプも多く存在した。刻印にSAINT CLAUDE FRANCEとあるのはこれである。パリの工場は1952年に廃止されたが、サンクロードの工場はCadoganによる吸収合併まで操業を続けた。

アメリカではオハイオ州コロンブスにあった伝説的なスモークショップであるSmoker's Haven(※2)が輸入元となり、現在でも多くの中古GBDパイプがオハイオ州から出てくる。アメリカ人好みの"conquest""collector""colossus"というオーバーサイズバージョンを始めとして、数多くのモデルやシェイプで人気を博した。また新素材の採用にも積極的で、カナダで1934年に特許出願がなされたPerspex(アクリル:イギリスではLuciteと呼ばれた)を、僅か三年後の1937年にマウスピースの素材として採用している。1960〜70年代にはPerspex Stemを備えたパイプはアメリカ市場でのGBDの製品の中核を成し、通常のバルカナイトの製品よりも1割ほど高い価格で売られていた。

Comoy'sなどの他の多くのイギリスメーカーと同じく、1970年代後半にCadoganグループに買収されたが、GBDは同時に買収されたcomoy、orlikなどの間でローグレードブランドと位置付けされ、結果製品の品質は下降の一途を辿った。2004年以降、新たなる再生プログラムによって新GBDの品質が向上(※3)しているようではあるが、ほとんどのコレクターやスモーカーは80年代以降のGBDに価値を見とめてはいない。

features:

GBDの魅力は、第一にそのスモーキングクオリティである。非常に丁寧に作られたパイプで、変な小細工もなされていず、質実剛健なタバコのレンダリングを行う。ダンヒルやチャラタンといったハイグレードブランドにも全くひけをとらないと言われている。

第二の魅力はその価格。GBDはエキスパートの間でも過小評価されているブランドとして有名で、ebayではusedのレギュラーモデルなら大体$20〜$40ぐらいも出せば入手できる。高級モデルでもせいぜい$60〜$120、未使用の新古品でも$150程度。

さらに、GBDは美しいカットのクラシックシェイプと共に、非常に独創性のあるパイプ作りをしていた。シェイプ数は非常に多く、インターネット上のエキスパートでも把握しきれていないのが現状である。少なく見積もっても200〜300程度のシェイプがあり、現在のフリーハンドハンドメイドパイプを見慣れた目にも新鮮に映るシェイプが非常に多く存在する。

また、フィニッシュも独創性に満ち、多彩だ。有名なRockroot(縦にグレインの形を真似て溝を彫りいれたラスティック)や、Granitan(サンドブラストを掛けた後、表面をポリッシュしてスムースに)、Fantasy(幾何学形のマスクでスムース表面を残したサンドブラスト)、Sauvage(虫食いのようなカービングを施したラスティック)など、現在ほとんど見ることができないような面白い処理のパイプが沢山あり、価格の廉さも合わせてコレクションに最適なブランドとなっているのである。

OLD or LATER? quick identification

metal roundel logoコレクティブルな価値があるとされるGBDのパイプはComoy's等Cadoganに吸収された他のイギリスパイプメーカーと同様に、1980年近辺のCadoganによる買収以前の製品である。これ以前のパイプは通称"Pre-Cadogan"と呼ばれる。マウスピースの「GBD」マークが金属製のラウンデルで、かつP.O.S(生産地表示スタンプ)が直線のLONDON ENGLANDの物がOld(Pre-Cado)GBDである。 P.O.SCadogan期以降のものはロゴが単純なスタンプになり、P.O.SがComoy'sと共通のMADE IN LONDON(円状)の下にENGLAND(直線)となっている。尚、この二箇所の変更は漸次的に行われたので、スタンプだけがLONDON ENGLAND、ラウンデルだけが金属製、といった個体が散見されるが、これらのパイプもCadogan期移行のものである。近年の生産品はみな金属製のラウンデルを装備しているので注意すること。

尚、フランス製GBDは刻印やラウンデルの種類に関わらず全てがPre-Cadogan時代の製品である。

models & grades:Pre-Cadogan Era

GBD

Pedigree

Bronze Velvet

Virgin

Prestige

Century

Special Standard

Prehistoric

Ebony

New Standard

Speciale(french made)

Originale(french made)

Edenroc(french made)

Tapestry

Fantasy

Sauvage

Concorde

Granitan

Rockroot

Secondes

Irwin's

City De Luxe

Digby

sample collection:

GBD

GBD Virgin #133 Billiard (1970's?)

GBD Virgin #254 Canadian (1950's?)

GBD Virgin #315 Apple perspex (1960's?)

GBD Virgin #335 Apple Hand-Cut (1970's?)

GBD Virgin collector #9625 Bent Cognac perspex (1970's?)

GBD New Era #9465 Lobat (1950's?)

GBD New Era collector #9588 Diamond shank Apple (1970's?)

GBD Prestige #9448 Apple (1970's?)

GBD Prestige collector #9675 Shillelagh perspex (1970's?)

GBD Century #1200 Cognac (1970's?)

GBD Century #2007 Bulldog black perspex (1970's?)

GBD Prehistoric #9493 Lobat Pot (1970's?)

GBD Prehistoric collector #9608 Poker perspex (1970's?)

GBD Prehistoric conquest #9645 Bel Pot perspex (1970's?)

GBD New Standard #9448 Apple (1970's?)

GBD Tapestry collector #1723 Standup-Pot (1970's?)

City De Luxe

Cherry Lined #335 Apple Tuskan Lip (1960's)

 

 

 

new
Virgin #315
c.1960
 
new
Virgin 254
c.1960
 
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Prestige collector #9675
1970s
 
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Prehistoric #9493
1970s
 
new
Prehistoric conquest #9645
1970s
 
↓See below for more pipes!!↓

(※1)Ganneval,Bondier,Donninger。ドイツ人らしい名前も一応フランス語読みではこう読むかと。

(※2)オハイオ州コロンブス、ゲイ・ストリートにあったスモークショップで、アメリカ市場におけるGBDの輸入販売元を努めていた。アメリカ初のメールオーダーによるパイプ販売、高品質のオリジナルブレンド、エキスパートを揃えたスタッフの接客などで今でも懐かしむ声が多い(現在ある同名の店はオーナーが2回ほど変わっている)。Smoker's Havenでは当時、GBDを購入した顧客に対し、別途チャージでシルバーバンドをパイプに付けるサービスを行っていた。現在でも中古市場に出まわるGBDパイプのうち、多くがSmoker's Haven製のシルバーバンドを備えている。GBDの刻印とホールマークがなく、クラックも見当たらないバンド付きパイプは大抵これである。また、Smoker's HavenではショップスペシャルモデルをGBDに発注したり、またGBD生産によるショップオリジナルパイプ(ステムに"SH"の刻印がある)の販売も行なっていた。

(※3)Comoy'sのSteve Jonesによる再生プログラムがGBDにも適用されている模様。Virgin, Prehistoricといった往年の名シリーズも復活を遂げている。 Virgin, Prehistoric, Voyagerが再生プログラム以降の製品。金属性ラウンデルを装備しているが、P.O.SはComoy'sと共通のMADE IN LONDON(円形)の下にENGLANDとなっているので判別は簡単。こちらも機会があれば質をレビューしたい。