Loewe

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history:

Loeweユダヤ系ドイツ人の職人エーミール・ジェイコブ・ロウ(※2)が19世紀の半ば、パリでパイプメイキングを学び、イギリスの首都ロンドンへと渡った後の1856年、ウェストエンドはヘイマーケット地区にパイプメイキング・ファクトリーとタバコショップを開いたのがLoewe&Companyの始まりである。ヘイマーケットは劇場の立ち並ぶロンドンの中でもとりわけ華やかな場所で、エーミールの作る精緻でエレガントなパイプは当時のスターたち、すなわち劇場人や俳優、そして彼らを見にくる客たちの間に非常な人気を博した。やがて彼のパイプのシャンクに刻印されたL&Coの文字は、アルフレッド・ダンヒルが革新的なパイプメイキングでハイ・ソサエティへの人気を奪取するまでの間、ロンドンにおけるプレミアム・パイプとして重きを置かれるブランドとなったのである。

1960年代に入ると当時ポピュラーな人気を誇っていたロンドンのパイプメーカー、CivicによってL&Coは買収される。生産設備こそハマースミスの元Civicのファクトリーに移管されはしたが、Civicは当時絶大な信頼と人気を獲得していたLoeweブランドをスポイルするようなことはせず、逆に自身のプロダクションラインをLoeweブランドの元に統合する決断を行なった。

暫くの間、LoeweはCivicによる統制の元、変わらぬ良質なパイプメイキングを続けていたが、1979年にはL&Coの英国商標がCadogan Investments社へ移されて、生産の場をSouthend-on-Seaに移した。LoeweもComoy、GBD、Orlik、BBB等の他の偉大なイギリスのパイプメーカーと同じ運命を辿ることを避けられなかったのだ。1980年代後半にL&Co社は解散し、その長いプレミアム・パイプメイキングの歴史に終止符を打つ。現在でもCadogan Industoryの手によって、細々とLoeweブランドのパイプの生産は続けられてはいるが、そのパイプに昔日の、エロル・フリンやアーサー・フォントナー等の錚々たる劇場人に愛された日々を思わせる輝きはない。

features:

Loeweの特徴はその精緻なディティールへの意識と、優美なシェイプエクスキュージョンである。一見したところ派手さのない、地味なパイプにも見えるが、細部にまで気配りの行き届いたディティールと、素晴らしくクラシックで同時にスタイリッシュなその質に感銘を受けることも少なくない。シルバーマウント系のパイプに見るべきものが多いのも特徴で、Loeweのシルバースピゴットはこのメーカーのトレードマークともなっている。

OLD or LATER? quick identification

Civic資本による経営の1968年頃、Loeweはそれまでのシェイプネームを廃止し、三桁のシェイプナンバーを採用する。よって1968年以前のPre-Civic Eraの特定は容易ではあるが、Pre-Cadogan(1968-1979)とCadogan(1979-)の判別はスタンプ類が同じなため難しい。とはいえ、シルバーマウント類を備えたパイプなら、ホールマークで判別が可能だ。

Stamp Guide

Tier1a:Pre-Civic Era (-1955)

LOEWE
LONDON W. シャンク右側面
-------------
L&Co シャンク左側面
-------------
Extra Grain シャンク下面(グレード名)
Note: グレード名はスペシャル・グレードのみ

 

Tier1b:Pre-Civic Era (1920-1955)

LOEWE
LONDON W. シャンク右側面
-------------
L&Co シャンク左側面
-------------
INVERNESS シャンク下面(シェイプ名)

 

Tier2:Pre-Civic Era (1955?-1964?)

LOEWE
LONDON W. シャンク右側面
-------------
L&Co シャンク左側面
CENTURION シャンク下面(シェイプ名)
-------------
INVERNESS シャンク下面(シェイプ名)
Note: Centurion、Original、Old Englishの三つのグレードがメインとなる

 

Tier1: Pre-Cadogan Era(196?-1979?)

LOEWE
LONDON W. 
910 (シェイプナンバー)シャンク右側面
-------------
L&Co
SPIGOT (グレード名)シャンク左側面

models & grades:Pre-Cadogan Era&Pre-Civic Era

Loewe: Pre-Civic Era (-196?)

Extra Grain

Straight Grain

Special Grain

Centurion

Original

Old English

Loewe: Pre-Cadogan Era(196?-1979?)

Centurion

Original

Old English

Standard

Straight Grain

Spigot

Mounted

sample collection:

Loewe

Loewe "Rhodesian" Rhodesian (1940s?)

Loewe "Block" Bulldog (1940s?)

 

 

 

new
"Rhodesian"
c.1940
 
new
"Block"
c.1940
 

(※1)このページの内容に関しては、スレッド随一のLoeweコレクター、mojo295jp氏の多大なるご協力を頂いた。この場を借りて謝意を表したいと思います。ありがとうございます。

(※2)Loeweの読みには諸説ある。自分がTexas PipesのRalph Webb氏に質問してみたところ、アメリカのコレクターは通常<ロウウィ>と発音しているそうである。重ねて、「当時のロンドンのパイプスモーカーはどう発音していたのか?」と質問すると、氏はわざわざイギリスの友人にコンタクトを取って調べてくれた。その友人氏によると、「イギリス人はLoeweというスペルが来た場合、必ず<ロウ>と発音する。(実際の発音は"ロー"に近い)これはイギリス人の条件反射的な習性だ」とのこと。有名なハリウッドの作曲家Frederick Loewe、ポップデュオPet Shop BoysのメンバーChiris Loweも日本ではそれぞれ、<フレデリック・ロウ>、<クリス・ロウ>と表記されることもあり、イギリスのメーカーであることを尊重して以下このページではLoeweは<ロウ>と表記することにしたい。