S.Weingott & Son "The Templebar Briar" bulldog (c1935)

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description:

戦前のWeingottがいかに高品質な、Comoy's、いやBarlingやDunhillにも比肩しうるほどのパイプを作っていたか、その証拠となるのがこのThe Templebar Briarと名づけられたサンドブラスト・フィニッシュのグレードである。

Temple Barとはシティ・オブ・ロンドンの東のはずれにあり、古く中世にはウエストミンスターからの街道の関所(bar)があった場所である。1878年には壮麗な装飾が施された門が築かれた。テンプル・バーはWeingottの店舗があったフリート・ストリートからごく近くにあり、おそらくサミュエル・ウェインゴットは毎日のようにそのモニュメントを目にしていたことだろう。Family eraのWeingottパイプのライン名には、このように当時フリート・ストリートの近くの地名・名所から取られた名前が多い。

DunhillのShellbriarともBarlingのFossilとも異なったそのサンドブラスト・テクスチャーは前二者ほどのクラッギーな激しさはないが、実に丁寧にテクスチャが形作られ、安価なサンドブラスト・パイプにありがちな眠さが全くない。シャローながらもブライヤーの持つキャラクターが最大限に発揮されており、またそのステインのカラーリングも深く透明感がある。

加えてDunhillのShellbriarとも似た形式で深く切られたフラットボトムのおかげで、ブルドッグというシェイプが一種異様な前衛的なシェイプに面目を新たにされているところも注目に値する。

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Pre-War Weingott shape excution:↑

直線的な面構成が一種男性的な風格を作り出している。DunhillのShellbriarと似た形式で切られた刻印用のフラットボトムに注目。フラットボトムはダイヤモンド型のステムの底面にまで及んでいるために、パイプ全体のシルエットにまで影響を与えている。ボウルのフォワード・キャントの具合といい、クラシックシェイプに極めてよく通じた手によるシェイプだ。どっしりとしたロワーコーンの量感から見ても、あまり他のメーカーには見られないシェイプ・エグゼキューションだと言える。

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Briar Texture of "The Weingott Pipe":↑

クラッギーでこそないが、実に丁寧にかけられたThe Templebar Briarのサンドブラスト。ブライヤーのキャラクターを最大限に表現している。深い色の、ややマルーンがかったアンダートーンのステインも見事。リムは戦前のパイプらしく、やはりノンベベル・スタイルである。

 

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Weingott engineering & details:↑

大きく開口されたリップスロット、優れたコンセントリシティと、Wingottが当時の一流パイプメーカーと同レベルにあったことが分かるショットの数々。このサンプルの存在により、Dunhillと同様のアルミ製インナーチューブの使用があきらかとなった。

 

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Templebar Briar sandblast texture, Partial rustication:↑

ジャンクション近辺には、ステムに向かってサンドブラスト・テクスチャをラスティケーションで均していった形跡が見られる。このラスティケーションもよくあるチープなものではなく、実に丁寧に彫られ、一見したところでは境界がわからないようになっている。ステムとスタンメルの境界をブラストでグラデーションさせる技術が無かったことが伺えるが、却って当時のWingottのディティールに対する意識が浮き彫りになっているとも言えるだろう。

 

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Nomenclature & stamping:↑

Family eraのWeingottに特徴的な、ダッシュに挟まれたライン名の刻印は、このThe Templebar Briarにおいても健在である。

 

 

shape: Bulldog
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: plum sandblast
ornament:none
length:150mm
height: 40mm
chamber dia: 18.5mm
chamber depth: 35mm
weight: 35g

nomenclature:
THE---------
TEMPLEBAR
--------BRIAR (block letter)

WEINGOTT
LONDON (same lenght as WEINGOTT)

note:
・状態極上