Sasieni Four Dot Patent "OOM-PAUL S" Oom-Paul (circa 1946)

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description:

Patent No.付きのFour Dot RusticのOom-Paul※1、その名も"OOM-PAUL"である。これはサドルビットバージョンのSタイプ。Sasieniのシェイプ名を表す通称"Town Name"は英国やロンドン市内の地名から取ったものがほとんどであるが、このシェイプ名のように2-3の例外がある。

しかし、なんという素晴らしいパイプだろう!典型的なクラシックシェイプであるOom-Paulのシェイプエクスキュージョンでありつつ、僅かにボウル底を斜めにすることで個性を演出した"OOM-PAUL"シェイプと、Sasieniのワンオブカインドな"Closely-Grained"ラインカービングテクスチャ。非常に印象的な一本。

今回ebayで非常に安価に入手することができたパイプであるが、届いたパイプは期せずして素晴らしいコンディションだった。ステムが僅かに変色していた以外は、わずかに2-3回の喫煙を示す痕跡があったのみで、ほぼ新品。シャンク内のMortiseはまだまっさらなブライヤー地が露出しているといった状態だった。ワックスの状態もほぼ購入時のもののままだと推測される。Alfredの時代を示すアップライトなロゴがスタンプされてはいるが、戦後すぐに廃止されたPat No.151348のアルミフィットメントを備え、戦前の製品に使用されていた小さなFour-Dotダイヤモンドステムロゴを備えることから、Joelの死の直後、1946年近辺に製作されたパイプではないかと推測する。

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Sasieni #80S "OOM-PAUL-S" shape excution:↑

非常にクラシックなOom-Paulシェイプであるが、Sasieniらしく若干のタッチが咥えられた#80S "OOM-PAUL" S シェイプ。ベントの微妙な具合、シャンクにわずかにかけられたテーパー、そして前方への流動感を演出するボウル底のアールのかかりかたに注目。"OOM-PAUL"は後年XSスタンプが刻印されるラージサイズパイプであるが、まだXSスタンプの採用はされていない。大きさの割には非常に軽いパイプであることも特筆に価する。

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Sasieni Four Dot Ruscit "Closely-Grained" Line Carving:↑

ブライヤーに備わるグレインにしたがって細かく彫り入れられた、Sasieni"Closely-Grained"ラインカービングテクスチャ。完全ハンドメイドの作業であり、一本一本その表情は異なる。

 

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Sasieni US PAT No.151348 Alminium Fitment:↑

戦後まもなくして廃止されることになる、US PAT No.151348のアルミフィットメントも付属していた。このフィルターシステムは非常に精巧な作りで効果も高いが、このOon-Paulシェイプのようなフルベントパイプとは相性が悪くドローも極端に重くなるため、筆者は取り外して使用している。

 

 

shape#80S: "OOM-PAUL S" Oom-Paul
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: black/deep brown rustic
ornament:none
length:140mm
height: 56mm
chamber dia: 19mm
chamber depth: 49mm
weight: 38g

nomenclature:
SASIENI(pre-war uplight script)
FOUR DOT
LONDON MADE
PAT No 150221/20
"OOM-PAUL" S
(MADE IN) ENGLAND (football shape stamp)
Small light blue Four-Dot inlaid logo aligned in diamond shape on the stem

note:
・ほぼ新品同様

※1 Hungarianとも呼ばれるこのOom-Paulというシェイプ名は、南アフリカ共和国の前身、トランスバール共和国大統領ポール・クリューガー(Stephanus Johannes Paulus Kruger 1825〜1904)の愛称から来ている。シェイプは1900年前後にBBBによって考案され、このクリューガー大統領によって愛用された。Comoy'sはこのシェイプを大統領のラストネームを使ってKrugerというシェイプ名を採用していた。