Alfred Dunhill

Nomenclature guide:

このガイドは、Wolfgang Pointner氏のサイトpipewolf(現在閉鎖中)、John Loring氏のサイトの内容を参考に、Ye Olde Briarsでの独自の調査を加味して作成されている。

Quick dating guide /ダンヒルの簡単なdatingのしかた

1) まずシェイプナンバーを見る。4桁、5桁の場合は1975年以降→date codeを参照する(例外として、1975年以前にもサドルビット・モディファイヤ"6"がついた4桁ナンバーが存在する。)1〜3桁の数字もしくはアルファベットのシェイプナンバーの場合、1975年以前。次に進む

2) Patent No.があるかどうか探す。Patent No.がない場合1955年以降→date codeを参照する。Patent.Noがある場合1954年以前。次に進む

3) グループナンバーがあるかどうか探す。グループナンバーがある場合1951年以降→date codeを参照する。グループナンバーがない場合1950年以前。次に進む

4) 下記のPatent No.表を参照し、該当する年代を調べ、さらにdate codeで正確な年度を確定させる。

 

Maker Mark

スムースパイプ(Bruyere、Root Briar)の刻印。1922年以降のBruyereはDate Codeを備えているが、それ以前のパイプについてはメーカー刻印で判定する必要がある。

1910〜1918.1 <DUKE Street>

A / DUNHILL / DUKE ST. S.W
Aにピリオドなし

1918 1月〜1918/10/20 <DUKE Street>

A. / DUNHILL / DUKE ST. S.W
Aにピリオド、date codeなし

1918/10/20〜1919/1/2 <同レングスLONDON>

A / DUNHILL / LONDON
DUNHILLとLONDONは同じ長さ、date codeなし

1919/1/2〜1919/5/20 <アーチ状DUNHILL初期>

A / DUNHILL / LONDON
アーチ状DUNHILL、LONDONがDUNHILLより短い、date codeなし

1919/5/20〜1920/1/1 <アーチ状DUNHILL後期>

A / DUNHILL / LONDON
アーチ状DUNHILL、DUNHILLとLONDONは同じ長さ、date codeなし

1920/1/1〜1920 11月 <ヒゲなし&コードなし>

A / DUNHILL / LONDON
ストレートDUNHILL、LONDONがDUNHILLより短い、date codeなし

1920 11月〜1922 <ヒゲDUNHILL>

A / DUNHILL / LONDON
ストレートDUNHILL、LONDONがDUNHILLより短い、Dにヒゲ date codeは22年以降あり

1922〜51 <コードあり>

A(もしくはR) / DUNHILL / LONDON
ストレートDUNHILL、LONDONがDUNHILLより短い、date codeあり 以降、このスタンプが1952年までメーカーマークとフィニッシュ名が併載されるようになるまで使用される。

1952〜75 <短縮コード・フィニッシュネームつき>

A(もしくはR) / DUNHILL / BRUYERE(もしくはROOT BRIAR)
短縮コード+DUNHILL+フィニッシュ名の刻印。

1976〜96 <フィニッシュネームつき>

DUNHILL / BRUYERE(等のフィニッシュ名)
短縮コードが廃止される。マルダン刻印が導入されるまで使用される。

1996〜 <マルダン>

dunhill(楕円内)/ BRUYERE(等のフィニッシュ名)
楕円内に刻印された、特徴的な上下に引き伸ばされたdunhill+フィニッシュ名の刻印で、マルダンと呼ばれ現在まで使用されている。

 

Patent No.(1913〜1954) Bruyere/Root Briar

No.yearnote
PAT N° 5861/121913-1926UK inner tube
PAT N° 116989/171918-1934UK inner tube w/flange
PAT N° 3588121932-1935 
PAT N° 4175741935-1941inner tube
PAT N° 363585 1936 
PAT N° 417574/341942-1954US/UK inner tube unified No.(※1)
PATENT MARCH.9.151915-1923UK inner tube
PAT N° 1130806/151924-1926US Inner tube
U.S.PATENT 1343253/201927-1933, 1937-1941US inner tube w/flange
PAT N° 1343253/201927-1941US inner tube w/flange
U.S.PATENT 1861910/321932, 1935-1936US Vernon tenon
PAT.AMERICA 19151915-1923inner tube
PATENTED 19141914-1923inner tube
PAT N° 158709/141924-1926CA inner tube
PATENT N° 197365/201927CA inner tube /w flange
CANADIAN PATENT N°197365/201928-1934CA inner tube /w flange
PATENT N° 3560901936 
PATENT N° 1973651937-1941Ca inner tube /w flange
BREV N° 491232/181932-1935FR inner tube /w flange
BREV. N° EN.SUSPENS1935FR
PATENT PENDING1932-1935 
PATENTED 19321934-1935 

 

Patent No.(1917〜1954) Shellbriar/Tanshell

No.yearnote
DUNHILL'S "SHELL BRIAR"
PAT. N° 119708/171918-1929UK sandblast
PAT. N° 5861/12.119708/171918-1926UK sb&tube
PAT. N° 119708/17.5861/121918-1926UK tube&sb
PAT. N° 119708/17.116989/171927-1931UK sb&tube /w flange
PAT. N° 119708/17&116989/171927-1931UK sb&tube /w flange
DUNHILL'S "SHELL" FABRICATION ANGLAISE
119708/17. BREV N° 491232/181927-1933UK&FR tube /w flange
PAT. N° 119708/171927-1929UK tube /w flange
BREV. N^491232/181934FR tube /w flange
DUNHILL'S "SHELL" MADE IN ENGLAND
PAT.N° 119708/17.5861/121918-1926UK sb & tube
PAT.N° 158709/14.209845/211924-1926CA tube & sb
PAT.N° 1130806/15&1341418/201924-1929US sb & tube
PAT.N° 1341418/201921-1927US sb(※2)
PAT.N° 209845/211924-1927CA tube
PAT.N° 119708/17.116989/171927-1931UK sb & tube /w frange
PAT.N° 119708/17&116989/171927-1934UK sb & tube /w frange
PAT.N° 209845/21&197365/201927CA sb & tube /w frange
PAT.N° 1341418/20&1343253/201927US sb & tube /w frange
U.S.PATENTS 1341418/20&1343253/201927-1933US sb & tube /w frange
U.S.PATENT 1341418/201927-1929US sb
CANADIAN PATENTS 209845/21&197365/201928-1934CA sb & tube /w frange
CANADIAN PATENT 209845/211928-1929CA sb
U.S.PATENTS 1341418/20&PAT.PENDING1932US sb & ?
CANADIAN PATENTS 209845/21&PATENT PENDING1933UK sb & ?
U.S.PATENTS 1341418/20&1861910/321932-1934US sb & vernon tenon
PAT.N° 1169891934UK tube /w frange
PROV.PAT. 15114/341934-1935 
PAT N° 417574/341942-1954US/UK unified No.

 

Date code

Date Codeは"MADE IN ENGLAND"もしくはPatent No.の後ろに付く。数字の大きさは60年代を除き、ENDLANDのDの字より小さい。

Patent No.がある場合(1922〜1954)(※3)

1〜0
年代は上記のPantent No表を参照

11〜19
1931-39

Patent No.がない場合(1955〜)

5〜0(ENGLANDのDの半分の大きさ)
1955-1960

1〜0(ENGLANDのDと同じ大きさ)
1961-1970

11〜19
1971-1980

20〜29
1980-1989

30〜39
1990-1999

00〜
2000〜

 

短縮コード

A Bruyereフィニッシュコード(1910〜1975)

当初は「Aクラスブライヤーを使用している」といった意味の刻印であったが、Root Briar用のRのフィニッシュコードが導入されると同時にBruyereを示すフィニッシュコードとしての役割を担うことになる。1920年代には小円や点などのピリオドがあったり、円内に刻印されるなどのバリエーションがある。<Aoは通常のAよりグレードが高い>という風説も見かけるが、当時のプライスリストにそういった区分がないため、John Loringによって否定されている。1951年まではシャンク二アサイド、1952年からはシャンクファーサイドに刻印される。

R Root Briarフィニッシュコード(1931〜1975)

1931年のRoot Briarの登場とともに、シャンクニアサイドに刻印されるようになったRoot Briar用フィニッシュコード。1951年まではシャンク二アサイド、1952年からはシャンクファーサイドに刻印される。

S Shellbriarフィニッシュコード(1952〜1975)

1952年のTanshellの登場とともに刻印されるようになったShellbriar用フィニッシュコード。それ以前はShellbriar用のフィニッシュコードは存在しなかった。グループナンバーは1951年から刻印されるため、1951年製シェルはグループナンバーがあってもフィニッシュコードを持たないことに注意。

T Tanshellフィニッシュコード(1952〜1975)

1952年のTanshellの登場とともに刻印されるようになったTanshell用フィニッシュコード。

R/B Red Barkフィニッシュコード(1972〜1975)

1972年登場のRed Barkのフィニッシュコード。

 

グループナンバー

グループナンバー (1951〜1975)(※4)

1951年から導入された○の中に1〜4の数字。ボウルサイズを示す。1975年以降は廃止されてシェイプナンバーの一部に統合され、グループも5と6が追加された。なお、ODA、ODBなどのオーバーサイズシェイプには刻印されない。(これらのOD刻印自体がオーバーサイズコードのため)

 

その他のスタンプ

"INNER TUBE" /インナーチューブ刻印 (〜1932)

Bruyereに刻印される、インナーチューブ刻印。1932年まで使用された。

REG No 654638 /レジスタードナンバー (〜1932)

オリジナルステム裏に刻印される、ホワイトスポットの登録意匠番号。

F/T /フィッシュテイル・ビット (1948?〜1975)

Dunhill独特のフィッシュテイル・ビットがフィットされているパイプ。F/Tの刻印。

C /チャーチワーデン・モディファイヤ

シェイプナンバーの頭に付けられるCの刻印。チャーチワーデン・ステムがフィットされていることを示す。このモディファイヤがついていてノーマルステムの場合、替えステム付きである以外はリプレイスメントステムの疑いがあるので注意。(例 C59、C60等)

T /フラットボトム・モディファイヤ

シェイプナンバーの頭に付けられるTの刻印。フラットボトム化されたシェイプを示す。(例 T142、T59等)

W /バンブーシャンク・モディファイヤ

シェイプナンバーの頭に付けられるWの刻印。バンブーシャンク化されたシェイプを示す。(例 W60等)

6 /サドルビット・モディファイヤ

本来テーパード・ステムのシェイプをサドルビット化した場合、シェイプナンバーの頭に6が付けられる。(例 6120、659,653, 6LB, 6LBS等)

Ex /交換パイプ刻印

White Spot Guaranteeで保証される、1年間のボウル保証が適用され、交換品として渡されたパイプに刻印される。Exの文字。

SP /スペシャル刻印

グレインの素晴らしい個体のシャンクファーサイドに刻印されるSPの文字。

H.W /ハンドターン刻印

Dunhillは基本的にマシンメイドのメーカーであるが、ごく一部、クラフトマンがターニングマシーンを使わず全てのエクステリア・ターニングを手で行ったパイプが作られていた(その中にはDRも含まれる)。H.WHand Workedを表し、これらのパイプに刻印されたものである。1920年のターニングマシーンの導入とは無関係

 

シェイプナンバーについて

ダンヒルのシェイプナンバーの細かいディティールについて。

Quiant Shape(Letter Shape)

1920年代、後述するOwn Design(ユーザーのデザインによるカスタムパイプ)で製作されたパイプのうち、人気を博したものがカタログシェイプとなった。これらの元Own DesignパイプはQuaint Shapeと命名され、1〜3文字のアルファベットからなるシェイプナンバーがつけられた。有名なものとしてLB、K、R、FETなどがある(※5)。コレクターは通常の数字でナンバリングされたシェイプ(Number Shape)と対比して、これらのQuaint ShapeをLetter Shapeと呼ぶことがある。尚、アルファベット三文字でもODAやODB等はQuaint Shape/Letter Shapeには含まれないので注意。こちらにQuaint Shapeチャートが掲載されているので参照のこと。

ブラストカテゴリー・ナンバー

1917年のShell Briarの登場時、そのあまりにも激しいブラストワークにより、Alfred Dunhillは多数のクレームを受けることになった。その内容はブラストパイプに刻印されているシェイプと、スムースパイプのシェイプが同じに見えないというものであった。これを受けて最初期から1920年代初頭にかけて、Shell Briarのシェイプナンバーはオミットされ、代わりにサンドブラスト・テクスチャのカテゴリーを表すブラストカテゴリー・ナンバーが刻印された。多くが一桁の数字で、当該の数字がカタログのシェイプナンバーに該当しない場合はブラストカテゴリー・ナンバーの可能性がある。この場合シェイプナンバーに関しては、カタログを参照してサイズや形状から想像するしかない。

インナーチューブ・サイズナンバー

シェイプナンバーの隣にスラッシュとともに刻印されるナンバーで、インナーチューブのサイズを示す。インナーチューブはスペアをユーザーが購入する必要があったが、このサイズナンバーを参照することで混乱なくマッチしたスペアを用意することができた。1920年代から戦前の1945年近辺までのパイプに見られる。例→LB/8、R/7、480/27など。

 

Own Designについて

ODAなどのスタンプで知られ、Dunhillのパイプの中でもコレクティブルとして人気の高いODシリーズであるが、年代による刻印の意味など大幅な変遷がある。

初期(1920年代〜1940年代)"Own Design"

登場当時のODはOwn Designの意味で、ユーザーのデザインによるカスタムデザイン・パイプを指すものであった。ODの後ろにはAから始まる(理論上はZまで)アルファベットが、そのデザインの難易度及びサイズによって刻印された。例としてあげれば、少々サイズを大きくしたパネルビリヤードならODA、土星を模した難易度の高いフリーハンド・パイプならODGといった具合である。ODのスタンプと難易度を示すアルファベットのスタンプは別々に打たれていた。なお、これらOwn Designパイプのうち人気のあるものはカタログシェイプ化され、後年Letter Shapeと呼ばれるQuaint Shapeとして、三文字までのアルファベットで構成されるシェイプナンバーが付与されることになる。(OD刻印自体はシェイプナンバーではないことに注意。Own Designはワンオフ製作のため、シェイプナンバーを持たない。) Own Designのカスタムパイプ製作は、あまりに手間がかかるために1940年代には終了していたと言われる。

中期(1950年代〜1970年代)"Oversized Dunhill"

1950年ごろになると、新たに39種類の、800番台のシェイプナンバーを持つシェイプがデザインされた。この当時はODはOversized Dunhillの意であるという記録が残っており、ODの後ろにつくアルファベットはサイズを示すものと定義しなおされている。OD*の刻印はサイズコードの役割を果たしており、1951年のグループナンバー採用後もグループナンバーは刻印されない。そのほとんどがODAであり、ODCになると極度にレアとなっている。

後期(1980年代〜現在)"Oversized Dunhill"

1970年代の終りには一旦生産が終了されていたOD 800シリーズだが、1980年代に一回、1990年代に再度復刻がなされ、現在に至るまで断続的に生産が継続されている。

 

 

 

(※1)1942年、Inner TubeのPatent No.は417574/34に統一される。これ以降Dunhillのパイプに現れるPatent.Noはフィニッシュの如何を問わずこのナンバーのみになる。

(※2)DUNHILL SHELL MADE IN ENGLAND / PATENT No 1341418/20のPatent No.を持ち、date codeのないShellbriarは多くが1941年から1945年の戦時中のパイプである。Alfred Dunhillの工房では年度末に来年のdate codeのスタンプブロックを発注するのが慣わしだったが、逼塞する状況下で新スタンプを入手することが困難になっていたためと思われる。

(※3)煩雑だが、1951年製dunhillパイプのdate codeは0であることに注意。1のdate codeを持つ1951年製パイプは、現在のところ1例(Tanshellのプロトタイプ、ROOT SHELLの一本)しか知られていないという。1951年製dunhillは、417574/34のPatent.Noとアンダーラインつき0のdate codeに加え、グループナンバーを持つことによって識別される。(→1951年製Dunhillの刻印例) Pat=417574/34 date code=0でグループナンバーがないものは1950年製。

(※4)グループナンバーは1951年から導入された。Richerd Hackerは1950年後半と主張しているが、John Loringによれば上記1950年製と1951年製のパイプの識別のし難さからきた誤謬だという。

(※5)1920年〜1930年の一時期、Quaint Shapeのうちスムースフィニッシュのパイプのみ、従来のLetter Shapeではなく別途3桁のシェイプナンバーが用意されていた時期があった。短い期間で廃止されることになるが、この期間Letter Shapeが採用されていたのはShellbriarだけということになる。裏ナンバーと呼ばれる3桁のシェイプナンバーについては前述のシェイプチャートを参照のこと。LBの裏ナンバー472、Rの裏ナンバー352等が有名である。