Dunhill Bruyère 130 Dublin “INNER TUBE” French Patent (1927)

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description:

第1次世界大戦の終結までに、確固たる成功を築き上げたAlfred Dunhillは、1924年にニューヨークとパリにも店舗を出店する。このあたりの経緯はトリニティ・スクール パイプクラブのMary Dunhill:Our Family Business”ダンヒルの歴史)が詳しいので一読していただきたい。)Brevet Numero(ブルヴェ・ニューメロ:特許番号)とFabrication Anglaise(ファブリカシオン・アングレーズ:英国製)の刻印をもつこのパイプは、パリでの華々しい成功の時代の空気を現在に伝える1本である。

時は創設者アルフレッド・ダンヒルの引退の1年前。BruyèreShellという、この希代のインヴェンターが手ずから作り上げた二つのフィニッシュが成熟を見せたのはまさにこの時代であり、戦前のAlfred Dunhillの最初の黄金期と見なすことも可能だろう。

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Alfred Dunhill 130 shape execution :↑

後年グループ1に分類されるシェイプ130。ロングシャンク/ロングステムダブリンと言ってしまうことは簡単だが、その潔癖すぎるライン構成は幾何学の域に達しているといっても過言ではない。ステムのラインに照応してテーパーするシャンク、大胆にフォワードキャントしたボウル/ステムジャンクション、フレアしすぎずスラリと立ちあがるボウルのテーパー具合と、おそらく女性の使用も視野に入れた軽量シェイプでありながら、あくまで謹厳で男性的なラインを維持しているのはさすがである。グループ1相当でありながらも、意外なほどチャンバー容量があるのはボウルの体積を無駄なくチャンバー容量に変換できるダブリンというシェイプの賜物である。

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Briar texture of Bruyère:↑

染色に天然の染料であるラックダイを使用したと思われる、Bruyèreのプラム・ステイン。リムにダメージはあるがステイン自体はオリジナルからほとんど退色はない。

 

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Engineering & Details of Bruyère:↑

(上)優れたクラフトマンシップはペンシル・シャンクといっていいほど細いシャンクのジャンクションも楽々と実現している。

(下)20年代の典型的なリップ・エグゼキューション。ややビット部の丸みが強く幅も狭いため銜えたときに独特のフィーリングがある。

 

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Nomenclature & Stamping:↑

(上、中) P.O.Sサイドの刻印。P.O.S"INNER TUBE"の刻印、Patent刻印、Date Codeが見られる。BREV. No No 491232/18はフランスにおけるインナーチューブの特許。Date Codeは7で1927年の製作を表す。

(下)メーカーマークサイドは1922年以降のブルイエルの標準的な刻印。この刻印は以降1949年まで継続して使用されることになる。1950年になると短縮フィニッシュコードはP.O.Sサイドに移され、1952年からはDUNHILL LONDONDUNHILL BRUYEREの刻印となる。

(右)ホワイトスポットは20年代に典型的な小径のもの。象牙製によく見られる周辺部の赤い変色が生じている。

 

 

 

shape: 130 dublin
stem: vulcanite
junction: normal push tenon
color: dark plum (faded)
ornament:none
length:159mm
height: 39mm
chamber dia : 18mm
chamber depth: 35mm
weight: 18.5g

nomenclature:
A
/
DUNHILL
LONDON (shorter than DUNHILL)
/
FABRICATION ANGLAISE
"INNER TUBE"
BREV. No 491232/18 7(7 undelined)
/
130(in circle)

ivory dot on the stem

note:
・インナーリムアウトラウンド
・アウターリムスクラッチ