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こちらは1971年製のBruyère CK F/T。Alfred Dunhill Ltdのパイプは1968年を境にクオリティドロップが起こったというのがアメリカでのダンヒルコレクターの間での定説である。しかしこの1971製のパイプでは、フィニッシュ、フィット、シェイプの面では何ら60年代のものと変わっている点はない。ただ一点、Dunhillの優れたスモーキングクオリティの源であった、オイル&ガスヒーティング・キュアリングには、かなりの簡略化・経済化の手が入っていると見え、喫味の点では以前のものに及ばないのが非常に残念である。
このシェイプCKも60年代頃から、よりビーフィに、よりマッシブになったボウル、そしてそれとは対照的にすらりと直線的に伸びるスマートなステムを備えるようになっている。目だった傷もなく、old colorより明るくなった新たなレッドステインのフィニッシュも十分に魅力的ではあるが、やはりこの年代になるとDunhillもモダン・パイプとしての性格が強くなってくるのは否めない。
戦前的なクラシックさは影をひそめ、新たなAuthorシェイプとしての魅力を最大限に発揮しているのが、1960年代からのシェイプCKである。マッシブでより球形に近くなったボウルと、魚の尾のようにまっすぐに伸びるシェイプラインは、Authorの造形の中でも1、2を争う魅力を備えている。
1960年頃から、Bruyèreのステインは徐々に明るい色が使用されるようになり、この時代に至ってはオリジナルのプラムステインの面影はほとんど拭い去られている。しかしながら、このビビッドで明るいレッドステインも非常に魅力的であることに変わりはない。
1970年代には、Alfred Dunhillのパイプにはかなり目立ったクオリティドロップ、ステム精度の低下、ジャンクションの不具合などが散見されるようであるが、このパイプが作られた1971年にはまだそれは起こってはいないように見える。以前のものと変わらぬ高いエンジニアリング・テクニックと品質の確かさは健在。
(上)Fishtail Bitを表すF/Tの刻印が見える。メーカーマークは1952年より、Bruyèreなどのフィニッシュ名を含むものに変更されている。
(下)円に4の番号はグループ4を表すグループナンバー。AはBruyèreの短縮フィニッシュコード。P.O.Sの右に1971年製を表すアンダーラインつきの11のDate Codeが刻印されている。写真では見えにくいが、その右下に同じくアンダーラインつきの12のスタンプが押され、このパイプが販売されたのは翌年の1972年であることを示している。
shape #CK F/T Author
stem: Vulcanite
junction: normal push tenon
color: red plum
ornament:none
length:128mm
height: 38mm
chamber dia: 20.5mm
chamber depth: 31mm
weight: 47g
nomenclature:
CK
F/T
/
DUNHILL
BRUYERE
/
MADE IN
ENGLAND 11(underlined)
/
4(in circle)
A
white dot on the stem
note:
・ごく小さなアウトラウンド
・ボウル表面にごく軽微なスクラッチ少々