Alfred Dunhill Bruyere #O /w PAT No. (1948)

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description:

BruyereDunhillがパイプを販売し始めた当時からのオリジナルフィニッシュである。最初期のDunhillはスタンメルを削りだす設備を持たず、専らBarling、Comoy's、Charatanなどのイギリス国内のパイプメーカー、もしくはGBD、Genodなどのフランス・サンクロードのメーカーからスタンメルを購入し、それをDuke Streetの店舗の二階にあった工房でマウスピースをフィッティングし、オリジナルのプラムレッドカラーでフィニッシュを施して販売していた。Dunhillのビジネスが独創的だったのはその購入されるスタンメルのクオリティで、Dunhillは惜しみなく高額の代金を支払ったため、他社は喜んで自社で製造されるうち最上のスタンメルをDunhillに提供した。深いプラムレッドでステインされたDunhillのパイプは当時の平均的なパイプのそれよりも上質な仕上げを誇り、その最上級のブライヤーの質も相俟って、シリアスなスモーカーの間でDunhillの作るパイプは一躍人気を博すこととなったのである。1920年代に入るとDunhillはロンドン市内に次々に工場を設立し、スタンメル製作工程を自社内で行うようになってゆく。Patent EraのBruyereは主に最も硬質であると言われるカラブリア(イタリア南部)産ブライヤーを使用し、その伝統は1960年代後半まで続いた。

このサンプルは1948年製のPatent No.付きBruyereシェイプO。非常に男性的・直線的で、重厚な雰囲気を持ったスクワット・ブルシェイプである。ファットなボリュームとグループ4相当のチャンバーを持ちつつも全長は130mmを超えない、非常にコンパクトなパイプ。1970年代半ばDunhillは主に財政的観点からシェイプバリエーションの整理を行った為、このOのようなLetter Shapeは廃止されることになった。ボウルに刻まれたブルドッグ特有のツイン・グルーブは、挟まれた帯が丸くトリムされている。他社のパイプにも、近年のDunhill(※1)のパイプにも見られないディティールである。Patent Era時代のDunhillの細部の細工に対する高い意識が窺える。

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Dunhill #O squat bulldog shape:↑

直線的な面構成でありながら同時にマッシヴなボリュームを表現し、さらにコンパクトにまとまったシェイプO。非常に魅力的なスクワットブルシェイプである。

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Briar texture on Patent Dunhill "Bruyere":↑

Dunhill Bruyereのプラムレッドステイン。この深いワインレッドが、往時のロンドンのスモーカーにとってクオリティの代名詞だった。Patent No.の右側にシェイプを表す"O"のスタンプが見える。丁寧に丸くトリムされたツイングルーブのディティールにも注目。

 

 

shape#O: squat bulldog
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: plum red
ornament:none
length:129mm
height: 37mm
weight: 40g

nomenclature:
DUNHILL
LONDON
/
MADE IN ENGLAND
8 (underlined)
PAT No.417574/34
/
O
/
White Spot made from vulcanite rod on the stem

note:
・ツイングルーブに欠け二箇所
・アウトラウンド少々
・ハンドリングマーク

(※1)この丁寧にトリムされた特徴的なツイングループは1950年代半ば廃止される。それ以降は他社のものと同じ、単純に二本の溝が掘り込まれただけのツイングルーブとなる。