Alfred Dunhill group4 Tanshell #PO /w PAT No. (1953)

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description:

DunhillのオリジナルフィニッシュであるBruyere(1910〜)、 Shell(1917〜)、Root Briar(1931〜)に続く、1952年に発表された新フィニッシュがこのTanshellである。Shellのブラック/ブラウンステイン、柔らかいアルジェリア産ブライヤーと対照的に、ナチュラルライトタンのステイン、サルジニア産ブライヤーが使用されたTanshellは、経年変化をダイレクトに味わえる、Shellよりもユニフォームでシェイプアウトの少ないブラストテクスチャを備えていた。

このサンプルは、Patent Era(1910〜1955)ギリギリの、1953年製作のTanshell POTanshellShellに比べると比較的大人しいブラストテクスチャが多いと言われるが、この最初期に相当するTanshellのブラストテクスチャはPatent Eraにふさわしく、シェイプアウトも辞さないほどクラッギーで荒々しいものになっている。Dunhill以外のパイプでは目にすることの少ない、非常に魅力的なブラストである。

通常の数字によるシェイプナンバーとは異なる、POなどのアルファベットで表記されるシェイプ名は通例"Letter Shape"と呼ばれる。Dunhillは1930年代頃まで、"Own Design"と呼ばれる、顧客の要望に応じたパイプの製作を行なっていたが、そのうち人気があるものが"Quaint Shape(※1)"と呼ばれるようになりレギュラー化した。これらがアルファベット1文字〜3文字で表記されるLetter Shapeであり、Dunhill最初期の非常にクラシックな面影を残すシェイプが多い。有名なものにラージビリヤードのLB、カナディアンのES、フォースクエアのEK、ローデシアンのPなどがある。

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Sandblast texture on Patent Dunhill:↑

印象的としかいいようがない、Patent Dunhillのクラッギーなサンドブラストテクスチャ。ブラストのパワーによって一部ボウル厚が薄くなるほどにまでブライヤーが削られていることに注目。

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Dunhill #PO squat bulldog shape:↑

Letter shape POは、Letter shape O(straight bulldog)、Letter shape P(bent Rhodesian)を掛け合わせたかのような、ちょうど二つのシェイプの中間にあたるシェイプ。シャンクはベントしておらず、ステムのみの1/8ベントなので、非常に精悍でスマートなイメージがある。刻印を切るためにボトムがフラット化されているが、そのせいで通常はラウンドされているはずのボウルヒールにエッジが出現し、ポインテッドヒールを備えたモダンハンドメイドブルのような魅力まで備えている。

 

 

shape#PO: 1/8 bent squat bulldog
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: light tan
ornament:none
length:138mm
height: 32mm
weight: 33g

nomenclature:
PO
93
/
DUNHILL
TANSHELL
/
MADE IN ENGLAND
3 (underlined)
PAT No.41757434
/
4 (in circle)
T
White Spot made from vulcanite rod on the stem

note:
・リムタール蒸着
・ボウル全体に強い染め上がり

(※1)現在のDunhillにおいては、Quaintは製作途中に何らかのブライヤーの傷が発見され、それを回避するためにアドリブでシェイプが変更されたパイプを指し、通常シェイプナンバーは刻印されない。Letter Shapeはこの現在のQuaintとは関係はない。