Comoy's Extraordinaire #342 Billiard (1950s)

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description:

Extraordinare(エクストラオーディネア)は1920年代に発表された、Dunhill ODAやSasieni King Sizeに対するComoy'sからの回答ともいえるモデルである。そのオーバーサイズのボウルは特大のエヴォションを必要とするため生産数は極めて少なく、Specimen Straight GrainBlue Ribandに次ぐComoy'sのコレクティブル・アイテムとなっている。Pre-Cadogan期を通じて(1960年代の数年間を除く)生産され、現在でもCadoganグループの手によりExtraordinareT、ExtraordinareUの生産が続けられている。Pre-Cadogan期のExtraordinareにはブラックサンドブラストのフィニッシュと、この個体のようにナチュラルオレンジブラウンのスムースフィニッシュの二種類が存在した。Comoy'sのシェイプリストには、Extraordinareシェイプとして数種類のクラシックシェイプがリストされているが、これ以外にも一品物のシェイプナンバーを持たないフリーハンドによる超大型(大きいものは10インチに達する)のパイプの存在も確認されている。

このパイプはグレッグ・ピースをして"Dead Linger of Dunhill LB"(Dunhill LBの生き写し)と言わしめたシェイプ#342。グループ5程度のボウルサイズを持つ今日的な基準でも大型の部類に入るビリヤードで、特徴的なヘビーシャンクときついテーパーの掛かったステムは容易にDunhill LBとの類似を指摘できる。未使用新品なので、当時のComoy'sの高品質なフィニッシュと細部へのこだわりがよく見て取れるサンプルとなっている。シャンクのComoy'sのスタンプがアーチされたserif(ヒゲ付き文字)と同じフォントとなっているため、このサンプルの生産時期は推測で1950年代前半。印象的なサイズとシェイプ、そして手のひら一杯のサイズのボウルを備えた実に魅力的なパイプである。迫力に満ちていながらも下品な印象になっていないのはComoy'sの優雅なクラシックシェイプ・エクスキュージョンの賜物だろう。

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Comoy's #342 "Dead Linger of Dunhill LB":↑

太いシャンクときついテーパーのかかった短めのステム。Dunhill LBと同様に非常に魅力的なシェイプである。ビットがこのサイズのパイプにしては極度に薄く快適なのも特筆に価する。Comoy'sの作るマウスピースはボタンの形状がよく練られていて、ホールド性と快適性を非常に高いレベルで両立している。奥歯でビット部を噛んでもよし、ボタン直前を犬歯や前歯でホールドしてもよし、手持ちでボタンを唇で軽く咥えてもよし。理想に限りなく近い形状といえる。

 

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Briar Texture of Extraordinaire:↑

リムのアップ。Comoy'sの高い精度へのこだわりが分かる一枚。#157との対比では、Extraordinaireサイズの持つ迫力がよく伝わってくる。

 

 

shape#342:Billiard
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: natural
ornament:none
length:148mm
height: 50mm
chamber dia: 22mm
chamber depth: 44mm
weight: 55g

nomenclature:
Comoy's (in upper case, serif)
EXTRAORDINAIRE
MADE IN LONDON(circular stamp)
ENGLAND
342
3-piece inlaid C logo on the stem

note:
・未使用新品