Comoy's Grand Slam Pipe #47 Billiard (1950's-mid60's)

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description:

20世紀初頭、各社よりスモーキングクオリティを向上させる新しい機構を備えた、いわゆるシステムパイプが次々と発表された。Grand Slam Pipeはその中でも目覚しい成功を収めたシステムパイプである。1933年に発表されたそのシステムはSasieniが採用したものと同じく、大口径に開けられたmortise(ダボ穴)に、ステムに装着された特殊なアルミチューブ・フィットメントが挿入されるといったもので、これによって余分な水分がスモーカーの口に届くの防ぐしかけになっていた。さらにComoy's独特のエレガントなシェイプと、独自に開発されたハイコントラストなステイン、極薄に仕上げられた高品質ドイツ産ヴァルカナイト製ハンドカットマウスピース、そして年数を経たアルジェリアンブライヤーのコンビネーションにより、Grand Slam Pipeは他社製品よりも際立って洗練されたパイプとなったのである。

1933年から1937年の間に生産されたGrand Slam Pipeは、専用の白いバーに青い点が穿たれた<Bardot>ステムロゴを備える。それ以降の製品は通常のインレイドCロゴになる。なお、構造上の問題からシェイプはレギュラーシェイプ中のストレートパイプのみで、ベントは存在しない。

近年、Grand Slam Pipeは、『アルミチューブを外して喫煙すると大口径のシャンク内空洞がエアチャンバーとして作用し、とても喫味がよい』とモダンスモーカーから再評価される動きがあるという。個人的には味がややマイルドになるが、極端にドライな煙が楽しめるといった印象。

このGrand Slam Pipeはおそらく60年代初頭の個体。新品未使用箱つき備品つき。革製のGrand Slam Patent System用ワッシャーもプラスチックケースに入って付属していた。新品状態なので、往年のComoy'sの他社の追随を許さない優れた工作精度がより明確に分かる(下のCロゴ写真端のステムフィットに注目。Cロゴの大きさは約3.5mm)。ボウルヒールに小さく深い掻き傷があるのが惜しい。

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Grand Slam Patent System:↑

煙道からの煙は革製ワッシャーでパッキングされた接続部からアルミチューブ内に入り、チューブ中央近辺に空けられた穴から一旦大口径のシャンク内空洞に吐き出される。そこでジュースや余分な水分を落とした煙は180°反対側に廻ってマウスピース側の穴から再びチューブ内に吸いこまれ、マウスピースを通ってスモーカーの口に届くようになっている。アルミチューブはマウスピースにネジ穴を切って固定されているので、外すときには注意。特に年代の古い個体はヤニ等でネジが固着している可能性もある。

シャンク端底面にX(打ち消し線)6とのスタンプが押してある。アルミチューブ・フィットメントの皮革製ワッシャーのサイズを表す。

 

shape#47:Billiard
stem: handcut vulcanite
junction: normal
color: darkred highlight
ornament:none
length:136mm
height: 40mm
chamber dia: 19mm
chamber depth: 37mm
weight: 27g/25g(w/o system)

nomenclature:
Comoy’s (in upper case, san serif)
GRAND SLAM
PIPE
MADE IN LONDON(circular stamp)
ENGLAND
47
X(with horizontal strike)5
3 piece inlaid “C” (on the stem)

note:
・新品デッドストック
・ボウルヒールに掻き傷少々
・Grand Slam Patentシステム(アルミチューブ)付属
・プラケース入りの交換用革ワッシャーx7付属
・ボックス(ダメージ有り)、シルク製スリーブが付属
・保証証、Comoy'sミニカタログ付属