Barling's Make Desk Pipe (c.1935)

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description:

デスク・パイプは卓上に置いたまま、ハンズフリーで喫煙を楽しめるようにマウスピースとボウルをコードで繋いだもので、Alfred DunhillやGBD、そしてアメリカのKBBなどのメーカーが生産していた。Barlingもその例に漏れず、この手のパイプを生産していたことが、このサンプルの存在で明らかになった。

非常に珍しい、Barlingの手によるデスク・パイプである。このパイプに関しては資料が全くなく、他にweb上に存在するパイプもないため、非常に限られた数生産されたものか、もしくはプレゼンテーション用のパイプであることも考えられる。スタンプも僅かにBarling's Makeの刻印と、BarlingクロスがBarling製であることを主張しているに過ぎず、非常に謎に包まれたパイプではあるが、随所に感じられるディティールへの高い関心は他のPre-Transition期のパイプと全く同様である。

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Barling's Make Desk Pipe shape execution :↑

他社のデスクパイプには原木を単純な形状にカットしてそのまま、といった趣のものが多いが、このBarling製のものは一味違う味付けがなされている。各エッジは丁寧に面取りがなされ、しかもボウル後半部はわずかに後方にむけて窄まっている。このような単純な形態にもBarling独特のボウル・エグゼキューションが適用されるのが面白い。

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Briar texture of Barling's Make Desk Pipe:↑

グレインにはあまり見るべきものはないが、サイズから言えばExExELサイズのパイプが楽に取れる大きさの原木であることと、当時98%が廃棄されたという厳格なBarlingのブライヤーセレクションのことを考え合わせると、この単純なブライヤーの塊も別の感慨を催すだろう。

 

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Engineering of Barling's Make:↑

プレゼンテーション用のパイプである可能性は捨てきれないが、それでもパイプ各部には完全に実用の役を果たすことが可能なエンジニアリングが、Pre-Trans Barlingらしいディティールへの意識で施されている。コードが挿入されるテノン・ピースとマウスピースには、煙道のべべリングと、コードが滑らないためにネジ状のモールドが刻まれている。マウスピースのリップ部も完璧な出来映え。

 

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Pre-Trans Barling Desk Pipe stamping:↑

刻印類はこの二種類のみ。Barling's Makeの字体は他のパイプに見られるものよりかなり大きめで、レアなディティールである。Barling Crossは戦前のパイプによく見られるものと同じ、細めの字体のもの。

 

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Comparison to ExEL size pipe:↑

ExELサイズのGuinea Grainとの比較ショット。かなりの大きさの原木が使用されていることがよく分かる。

 

 

 

shape: desk pipe
stem: handcut vulcanite
junction: tenon+vinyl cord+MP
color: natural
ornament:none
length(bowl only): 86mm
height: 55mm
chamber dia: 20mm
chamber depth: 42mm
weight(bowl only): 51g

nomenclature:
BARLING'S(arched, block)
MAKE(in upper case, block)


Barling Cross on the stem

note:
・クロス部変色
・Barling Cross 70%残存